お仏壇の金具や釘のさびのこと

お仏壇には数多くの金具や釘が使われていますが、年数が経つとある程度錆びてくるのは仕方のないことだと思います。

しかし、同じ錆びるにしてもお仏壇全体がそのような傾向なのか特定部分の金具や釘だけが錆びるのかにより、修理の仕方が違ってきますのでお気をつけください。

というのは、お仏壇のあちこちの金具等が錆びている場合は、お仏壇を納めてある場所の湿度が大きく影響しているものと考えられ、これはその環境を変えることにより対策がとれます。錆びが出てからでは遅いのですが…。

ところが、極端に特定部分の金具等だけが錆びている場合。たとえば、同じ扉でもある1本の桟(さん)に取り付けられている金具や釘だけが錆びていて、ほかの桟のものはきれいな状態のままなことがあります。(下の写真を参考にしてください)

このような場合は、その桟には塩分が残っていることが疑われます。米マツをはじめとした外材は海水に浮かせてあるときに塩分を吸収してしまい、それが残ったままになっている木材を使用した部品に釘を取り付けると(ここでは桟)、この釘が塩分により錆びさらにこの釘を打ち込んである金具も錆びてきます。

そうかと言って、仏壇屋さん(当社も含む)がその錆びの原因を分析することは現実には難しいと思いますが、このような可能性があることを頭の中に入れておかないと、何度金具の錆びを落とし色をつけ直しても同じことの繰り返しになります。

この場合の対策としてはいくつか方法がありますが、最もよいのは塩分を含んでいるだろうと疑われる木材はお洗濯などの際に取り替えてしまうことですね。

片側だけが錆びている金具(蝶番)の修理前後のサンプル

※同じ金具にも関わらず左側部分のみが錆びています。錆の原因は木材にあると考えられます
※もとの煮色に近い発色にするために、職人さんが3回繰り返して新品時の色にほぼ近づきました

修理前の煮色の金具 修理後の煮色の金具
修理前の煮色の金具 修理後の煮色の金具
修理前の煮色の金具 修理後の煮色の金具
修理前の煮色の金具 修理後の煮色の金具
修理前の煮色の金具 修理後の煮色の金具
<修理前の煮色の金具>
<修理後の煮色の金具>

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仏檀修理アドバイザー



富山県内仏壇店での仏壇製造・修理現場勤務をきっかけに独立。気がつけば20年以上お仏壇の修理・お手入れに携わってきました。

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