お仏壇を掃除してはいけない

お仏壇のお掃除には2つの目的があると思います。

(1) 精神的なこと → 自分の心の掃除・感謝の気持ちなど
(2) 物理的なこと → 汚れているお仏壇をきれいにする

宗派によっては、一に掃除二に勤行と言われるほどお掃除は大切なものです。
これは全くその通りです。

さて、ここで考えてみたいのは2つ目の目的についてです。

お仏壇のお掃除というのはただ拭くだけであれば、とても簡単なことのように思えますよね。でも気をつけないと、お掃除したことによってますます状態が悪くなることが十分起こり得ます。
それでは「お客様ご自身によるお掃除・修理」による失敗を見てみましょう。

お仏壇をお掃除する際の手順や注意事項については、コラム「今日こそは、お仏壇のお掃除を‥」をご参照ください。

漆やカシューなどの塗装面

  • 砂ぼこりやゴミが残ったまま手加減なしで拭いたため、きれいだった塗装面が反対に擦りキズだらけになった。 ⇒ お仏壇の中は暗いためそのことに気づきません。
  • 水拭き後の乾拭きが不十分なため、湿気が残ったままになった。 ⇒ ほこりが付着しやすくなったりカビが発生する原因になります。
  • 漆が浮いて(はがれて)いる部分を拭いたため、布巾に引っ掛かりますますはがれた部分が広がっていった。

金箔・金粉

  • 金箔のそばを拭こうとして金箔に触れたため金箔がはがれた。
  • ゴミを取ろうとしたら金箔も一緒にはがれた。

金属製仏具

  • 細かい模様のある仏具を粘性の高い(チューブの歯磨き粉のような)研磨剤で磨き、それが模様の間に残ったままになり乾いて白くなっている。
  • 着色してある仏具を磨いたため色が落ちた。

その他の修理やお手入れ

  • お仏壇内の電気配線や外れた部品などをセロハンテープでとめたため、テープをはがすと金箔や漆がはがれた。 ⇒ コラム「セロハンテープは貼らないでっ」をご参照ください
  • 折れたり外れたりした彫り物や部品を本来の取り付け位置からずれた所に瞬間接着剤で付けてしまった。 ⇒ 元の状態にもどすのは難しいでしょう。
  • 外れた金具を必要以上に大きな(長い)釘で取り付けたため、部品を貫通してしまっている。
  • 蝶番の取り付けが不適切なため、他の蝶番に無理がかかっている。 ⇒ このことは蝶番破損の原因にもなります。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

おこころあたりはありませんか?

「ただ、拭けばいい」
「これくらいは自分で!」

と思っていると、思わぬところにキズをつけたり、その結果余計な出費につなが場合もあるかもしれません。

「お仏壇を掃除してはいけない」

これは正確に言うと、

「お仏壇にとってお掃除はとても大切なことですが、お掃除したつもりが思わぬ不具合を引き起こすこともありますので、細心の注意を払って行ってください。そして、気になることがあれば無理をせずに専門家にご相談ください。」

となります。

お掃除の手順と注意事項

お仏壇をお掃除する際の手順や注意事項については、コラム「今日こそは、お仏壇のお掃除を‥」をご参照ください。

関連項目

コラム一覧

仏檀修理アドバイザー



富山県内仏壇店での仏壇製造・修理現場勤務をきっかけに独立。気がつけば20年以上お仏壇の修理・お手入れに携わってきました。

当サイトがお仏壇の修理や取り扱いに関することなどでお悩みのあなたのお力になることができれば幸いです。

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